平安時代、北面の武士であった坂田時行（さかたときゆき）の妻は時行が病に倒れた後、都を追われ、信州の上路山（あげろやま）に流れ着いて山姥となり、息子の怪童丸と共に山賊として生き長らえていた。
　一方、源頼光は、東国の賊を平定せよとの勅命をこうむり、四天王の一人、渡辺綱を連れて東国へと旅立つ。東国への行軍の途中、頼光一行は上路山に差し掛かったところで道に迷い、灯りのついた民家へ一夜の宿を乞う。その家こそ山姥の家であり、頼光は寝首をかかれかけるもその武勇によって山姥と怪童丸を降伏させる。
　せめて息子だけはと怪童丸の助命を願う山姥の意を汲み、頼光は怪童丸を家来とし、情により山姥を許し逃した。この新たに家来となった怪童丸こそ、後の四天王の一人坂田金時であった。