広島神楽の新舞で代表的な演目です。
鬼女が3人出演する華やかな演出が魅力で、ストーリーが王道で分かりやすいのが特徴です。

【登場人物】
・主人公:平維茂(たいらのこれもち)
・武者:平維茂の従者
・鬼女:更科姫(さらしなひめ)、他2人
・八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)

【あらすじ】
平安時代中期、奥州会津の生まれで、大自在天魔王(だいじざいてんまおう)の血を受け継ぐ更科姫は、都に出て源家を滅ぼし魔国にしようとしたが、陰陽師に正体を見破られ信州国の戸隠山(とがくしやま)へと追いやられてしまう。奥山に住みつき庶民に災いをなした事が都へ聞こえ、勅命を受けた平維茂(たいらのこれもち)は、道中紅葉狩を楽しみながら奥山へと向かう。
維茂主従の動向を察知した更科姫は、麗しき女人に姿を変え、山中で紅葉狩の酒宴を催し、維茂をその酒宴に誘い込んで酒に酔い伏したところで命を狙おうとするが、八幡大菩薩が現れて維茂らを救い、女人の正体を告げて神剣を授ける。
神剣を授かった維茂は、八幡大菩薩の威徳をもってめでたく鬼女を成敗するという物語。

【注釈】
・平維茂:平安時代中期の武将で平兼忠の子として誕生。その後、平貞盛の養子となるが、不明なことが多く、なかば伝説上の人物とされている。武芸に秀で、鬼を退治したなどの伝説が残る。